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相続で失敗しない!
遺産分割協議書の作成手順と注意点を
徹底解説
相続が発生すると、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行います。この協議で合意した内容は、法的効力を持たせるために遺産分割協議書として書面に残す必要があります。本記事では、遺産分割協議書の作成手順や注意点を具体的に解説します。
1. 遺産分割協議書とは
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分け方について合意した内容を記載した書面です。この書類は、不動産登記や預貯金の名義変更などの手続きに必要となるため、正確に作成する必要があります。
2. 遺産分割協議書の役割と重要性
遺産分割協議書には、以下のような役割があります。
-
法的証拠としての効力
相続人全員が遺産分割に合意したことを証明する書面となり、将来的なトラブル防止に役立ちます。 -
名義変更手続きに必要
不動産の名義変更や銀行の相続手続きには、遺産分割協議書の提出が求められます。 -
二次相続への影響を抑える
適切な分割内容を決めることで、二次相続時の負担軽減につながります。
3. 遺産分割協議書の作成手順
遺産分割協議書は、次の手順で作成します。
① 相続人の確定
まず、相続人を確定する必要があります。
手続き方法:
- 被相続人の戸籍謄本や除籍謄本を取得し、相続関係を確認します。
- 相続人が複数いる場合は、全員が協議に参加する必要があります。
② 遺産の調査と評価
遺産の内容を正確に把握し、評価を行います。
手続き方法:
- 不動産 → 固定資産評価証明書や登記簿謄本を取得し評価額を確認
- 預貯金 → 各金融機関で残高証明書を取得
- 株式・投資信託 → 証券会社の残高証明書を確認
- 負債 → 借入金や未払い金などの債務も把握
③ 分割内容の決定
相続人全員で話し合い、誰が何を相続するかを決めます。
分割方法には以下があります:
- 現物分割:不動産や預貯金を現物のまま分ける
- 換価分割:不動産を売却し、売却代金を分ける
- 代償分割:一部の相続人が現物を取得し、他の相続人に代償金を支払う
④ 遺産分割協議書の作成
分割内容が決まったら、協議書を作成します。
記載する内容は以下の通りです:
- 表題:「遺産分割協議書」と明記
- 被相続人の情報:氏名・生年月日・死亡日・最後の住所
- 相続人の情報:氏名・住所・生年月日
- 遺産の内容と分割方法:不動産は登記事項証明書に記載された正確な表記で明記
- 署名・押印:相続人全員が署名し、実印を押印
- 印鑑証明書の添付:不動産登記手続きなどに必要
4. 遺産分割協議書の作成時の注意点
① 相続人全員の同意が必要
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必須です。一人でも欠けると協議は無効となります。
② 書類の正確性
不動産情報は登記事項証明書通りに正確に記載します。不備があると名義変更手続きができない場合があります。
③ 税務申告への影響
遺産分割の内容は相続税申告に影響します。
例えば、不動産を分割する場合は、小規模宅地等の評価減などの特例が適用できるかを確認しましょう。
5. 遺産分割協議書の署名と押印
遺産分割協議書には相続人全員の署名と押印が必要です。
さらに、不動産の名義変更などで提出する際には印鑑証明書の添付も求められます。
6. 遺産分割協議書の保管と活用
遺産分割協議書は、相続手続きや将来のトラブル防止に備えて大切に保管します。
保管方法:
- 相続人全員が原本または写しを保管
- 名義変更手続きに使用する場合は原本を提出
7. 遺産分割協議書を作成しない場合のリスク
遺産分割協議書を作成しない場合、以下のリスクがあります:
- 名義変更ができない → 不動産や預貯金の名義変更手続きが進まない
- 相続トラブルの発生 → 書面で残さないと後で分割内容に関する争いが起きる可能性がある
- 相続税の申告が不利になる → 分割内容が曖昧だと、税務上の特例が適用できない場合がある
まとめ
遺産分割協議書は、相続手続きにおいて極めて重要な書類です。相続人全員で協議し、法的に有効な書面を作成することで、名義変更や将来のトラブル防止に役立ちます。また、不動産や金融資産などの分割内容は、税務面にも影響を与えるため、税理士や行政書士、司法書士などの専門家と連携しながら作成することをおすすめします。